世界を旅しながら、“日々に小さなときめきを”をコンセプトに、写真やエッセイなどのコンテンツを発信。現在は、実験的にタイのバンコクに居を構えているという彼女に、旅暮らしのきっかけと、これからの夢を聞きました。

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学校っていう組織が本当に苦手だったんです。
8時に全員登校するのが、なぜか分からない。英語も体育もなぜ必要なのか、分からない。先生に聞いても「ルールだから」。親が公務員だったので、将来も変わらなく思えて、「大人になりたくない」って、当時はずっと感じてました。
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それが、私の高校で交換留学の授業があって。アメリカ人生徒の授業の受け方が、めちゃくちゃラフだったんですよ。寝っ転がったり、興味がなければ寝ていたり。その時、「こんな生き方ができるのか!」、「私は日本人に生まれたけれど、日本に暮らすのがベストじゃないのかも」と、思ったんです。

あとは、私世代にとってレジェンドな旅人である、高橋歩さんの影響ですね。彼の本をたまたま手に取って、すごく衝撃を受けて。「こんな生き方をしている大人がいるんだ!」って。彼が世界一周をしていたので、私も、となりました(笑)。
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卒業後は、「ハサミ一本あればどこでも仕事ができるから」と、専門学校に通って美容師の道へ。けれど、どうしても好きになれなくって。「ハサミを好きなものに持ち替えよう」と思って、次に選んだ道具が、パソコンでした。

“海外 PC 働く”でひたすら検索するうち、バンクーバーに住むWEBデザイナーさんのブログに行き着いて、その方に、海外で働きたいんですって、今思うとびっくりするほど失礼な問い合わせをしました。でも、とても良い方で、「まずは母国語でデザインの勉強をしてから、海外に出た方がいい」と学校まで紹介くださって。そこに1年通ってデザインの勉強をして、青山のデザイン会社で1年修行して。最終的に、ハマったんです。
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その後、株式会社LIGに転職。デザイナーを1年半やって、旅と相性の良いスキルを他にも身に付けようと、社内転職してライターを半年間。そして27歳の時、世界一周のために退職しました。
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私、親に “世界一周行く行く詐欺”をしていたんですね。16歳からずっと。でもこのままではいけないと、24歳の時に、「2016年6月○日に世界一周に、どんな状況であっても行く」と紙に書いて、部屋に貼りました。この日に行かなかったら、一生行かないと決めて。

それを周囲にも話していたので、日が近づくと「退職届はこの日までに出してね」と言われたり、餞別をいただいたり、どんどん引っ込みがつかなくなっていきました。
何の準備もないまま、出発前日、役所に届け出だけして、「フリーになりました、世界一周行ってきます!」って連絡をして。あとはもう、チケットだけはあったので、押し出される“トコロテン”のように出発したんです(笑)。
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現在、旅をしながらの仕事のしかたは、3パターンです。「その国と全く関係ない仕事をする」、「仕事のために行く」、「行ってから仕事を作る」。現地から日本企業に営業したり、現地で知り合った子と仕事を作ったりは、その時々で。

ここ数年で、世の中変わったなーって感じています。スマホも、翻訳機も、Airbnbもあるし、旅生活はもう「やりたいか、やりたくないか」が大きいですよね。
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海外留学サイトを手掛ける友人に出発前、私、初海外で「ハローしか言えない」って話したら、本気で心配されて、「セブ島の語学学校に入れてあげるから、記事を書いて」って。フリーランス初の仕事は、その入学体験レポートでした。

で、留学後は、できればもう帰りたかった(笑)。でも引くに引けず、何となく安心感のあるタイへ。そして東南アジアを回って、ヨーロッパ、アフリカへ。南米が未踏なので、実は今、トランジット中なんです。
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とにかくスケジュール管理がハードで死にそうで。その国の情勢を調べて、宿や飛行機を取って、時差もあって。仕事の納期も遅れてしまって。整理する時間が必要と思い、7カ月経ってから一度、帰国しました。
その後2年間ほどは、まずは慣らし運転で、国内を旅して働きながら、時々海外へ。

今年から、いよいよ海外に住もうと、タイのバンコクにお家を借りた状況です。あったかいところが好きなんですよね。あと物価が安くて、プールの付いたタワーマンションが、駅徒歩30秒で、家賃3万円!
収入は会社員の時より上がって、LCCもあるから生活コストはむしろ安く済んでいて、貯金できるし、親にもお金を入れられるし、なんとタワマンにも住めている(笑)。
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お仕事は、SNS経由がほとんどです。私にとってSNSは、好きなことを仕事にするためのツールであり、仲間作りの手段。旅先で辛いことがあった時、何度もフォロワーさんに励まされました。
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Twitterを始めた理由は、「旅をキーワードに仕事を作るため」。そして、「旅先の出来事を多くの人と共有するため」。自分の人格にファンが付いてくれたらいいなぁ、と思って、なるべくリアルタイムで投稿するようにしています。
最初はフォロワー0人からのスタートでしたが、反応がなくてもくじけず続ける、投稿毎に起承転結させる、世界観を守る、投稿アプリで最適な時間調整をする、など気を付けながら発信して、今に至っています。
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これからは心地よく暮らすための手段として、「自分の好きなものプロジェクト」をやっていきたいと思っています。
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例えば先日、私が運営させてもらっているオンラインコミュニティ「.colony」と連動し、日々のときめくものを発信していくインスタメディア『3cm』を、立ち上げたばかり。ゆくゆくはコミュニティのみんなとものづくりをしたり、メディアを通してお店とコラボしたり、コンサルしたりする場の一歩として運営して行きたくって。あとはチャイがめちゃくちゃ好きなので、今年はスパイスを販売するブランドも、立ち上げます。
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会社をやってみたいなっていうのも、ありますね。今の業務を、やりたい子がもしいればインターンという形で入れて、引き継いで。フリーランスから自営の道へ、そんな想定はしています。

私には最初に「旅がしたい」があった。でも「決められた時間に出社したくない」とか、「あったかくて花粉のないところに住みたい」とか、苦手を外したら残ったのが、旅でもあったんです。なので、先のことは分からない。
今の理想は、海外に一つ、国内に一つ、納得感ある場所を見つけて、そこを行き来する生活をすること、かな!
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古性のち

NOCI KOSHO
1989年、神奈川県生まれ・バンコク在住。“日々に小さなときめきを”をコンセプトに、各地を旅しながら、写真とエッセイ、文筆などを手掛ける。またTwitterやInstagramで、世界で見つけたかわいいものを随時発信している。オンラインコミュニティ.colonyやインスタメディア『3cm』運営。現在は、チャイブランドの立ち上げを準備中。
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デザイン:前田佳保里 テキスト&編集:丸山央里絵